2024年さくらんぼの実情をお伝えします
山形県を代表するフルーツの「さくらんぼ」。鶴岡市のふるさと納税でも人気の返礼品のひとつです。毎年、数多くの申し込みをいただき、収穫期の6月から7月にかけて、キラキラと輝く真っ赤な返礼品を寄附者のみなさんにお届けしています。
ところが、今年(2024年)はさくらんぼが歴史的な凶作に見舞われてしまいました。ニュースの報道などで、すでにご存知の方も多いかもしれません。発送に必要なさくらんぼを確保できず、県内では全域的にふるさと納税の返礼品をお届けすることが難しい状況となっています。こうした窮状を知っていただきたく、鶴岡市ふるさと納税のnoteでもお知らせすることとしました。
昨年の猛暑による“双子果”
不作の原因のひとつは、昨夏の猛暑による「双子果(ふたごか)」がとても多いことです。通常、さくらんぼの花は雌しべが1つですが、高温や乾燥で樹にストレスが掛かると雌しべが2つ生じてしまい、双子のさくらんぼが生れてしまうのです。2つの実がくっついてしまう双子果は規格外品となり、商品として出荷することができません。
今年は、収穫期前の調査において、双子果が多い影響で山形県内のさくらんぼの収穫量は「やや少ない」とみられていました。
こうした予測が示されたたものの、鶴岡市内のさくらんぼ園では、園内の実り具合や、剪定・摘果の工夫により、「寄附者のみなさまにお届けする量は十分に確保できる」と見込んでいました。
収穫時期の高温障害“うるみ果”
ところが、この状況に追い打ちを掛けたのが、収穫を迎えたタイミングでの高温です。主力品種の「佐藤錦」の収穫は、平年より5日から7日ほど早く、6月13日から17日ごろに見込まれていました。ちょうどその時期に、鶴岡市内では30度を超える真夏日が続いてしまったのです。
連日、気温の高い日が続いたことにより、さくらんぼの軟化(うるみ)がすすみます。発送前に実の状態を確認しているものの、輸送中に通常より早く軟化し、お手元にお届けする頃には傷んでしまう「うるみ果」が発生してしまうのです。箱を開けてみたら、「ほとんど傷んでいて、がっかり…」ということになってしまうリスクがとても高いのです。
昨年の猛暑と収穫期の高温。これらの要因が重なって、2024年産のさくらんぼは近年まれにみる凶作となってしまいました。
返礼品をお届けできない状況に…
こうした状況のなか、先行してお申し込みくださった寄附者のみなさまにさくらんぼをお届けできるよう、農家の方々をはじめ、受託事業者、市役所職員で調整を重ねてきました。市内の他のさくらんぼ園にも日々お声がけを重ねながら、さくらんぼを確保できるよう努めてまいりました。
しかし、ふるさと納税分はもとより、地元の青果市場にもほとんど品物が出回っていない状況が続きました。品質の面も考慮し、やむなく「これ以上の出荷は難しい」と判断することになりました。
さくらんぼの到着を楽しみにお待ちいただいておりましたみなさまには、深くお詫びを申し上げます。鶴岡市にさくらんぼの返礼品をお申し込みいただきながら、まだお手元に届いていない方へは、代替品のご案内を、順次、郵送にてご連絡しています。
これからのさくらんぼを考える
例年、真っ赤なさくらんぼがぎっしりと並ぶ産直市場ですが、今年の棚は空きが目立ちました。家族連れや観光客で賑わうさくらんぼ狩りも、今季は開園できなかったり、いつもより早めに終了する園がありました。果樹農家の方にとって、今回はとても特に苦しいシーズンだったと聞いています。
この背景にあるのは、気候変動です。自然を相手にする農家さんからは、「このまま栽培を続けられるか」といった不安な声も聞こえてきます。返礼品をご提供いただいている鈴木さくらんぼ園のブログでは、今季を振り返ってこのような思いを綴っています。
こうした状況にありながら、これからも美味しいさくらんぼをお届けできるよう、数年かけて栽培品種を変更したり栽培方法の工夫を考えながら、すでに次のシーズンの準備を始めているということです。
返礼品をきっかけに、こうした地域の実情を通してお伝えすることも、ふるさと納税事業の役割だと考えお伝えしました。来シーズンはたくさんのさくらんぼが実ることを願いいつつ、これからも、ふるさと納税を通じて果樹農家さんを応援していただけますと嬉しいです。