知れば知るほどハムを食べたくなる「東北ハム」のはなし【その1】
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この生ハムをつくっているのは、「東北ハム」という企業です。でも、東北ハムって、東北全土に展開している企業なの? 鶴岡市ふるさと納税に出品しているということは鶴岡の企業だよね? ではなぜ「東北ハム」なんだろう? そんな疑問を抱えた私たちふるさと納税は、担当者の方にすこしお話を伺うことになりました。
──こんにちは。おじゃまします。
「はーい、こんにちは。どうぞ中へお入りください」
優しい笑顔で出てきたのは、東北ハムの管理部総務係主任の齋藤明美さんです。
──今日はご担当者の方からお話をお伺いできるということで、よろしくお願いします。
明美さん「こちらこそよろしくお願いしますね。いま、社長を呼んできますから」
(スタッフ一同)「えっ、社長?」
なんと、東北ハムの代表取締役社長の帯谷伸一さんが多忙なスケジュールの合間にお話しを聞かせてくださるとのこと。恐縮しきりの我々スタッフ一同の前に、にこやかな笑顔で登場した社長。さて、どんなお話が聞けるのでしょうか?
鶴岡にある「東北ハム」
──まさか社長が直々に対応してくださるとは…お忙しい中ありがとうございます。
帯谷社長「いえいえ、よろしくお願いします」
明美さん「社長はターボエンジンがついているみたいに自分で営業に出掛けて行ってしまって。分刻みに動いていて普段はあまり会社にいないんです」
──営業マンなんですね。
──ところで「東北ハム」という社名から、てっきり仙台を拠点に東北全土に展開している会社だと思い込んでいる人が多いかもしれません。じつは私もそのひとりでした。
帯谷社長「仰る通り、鶴岡にある会社だと思われていないんですよね。もともと、東北ハムは1934(昭和9)年に成澤 武男(なりさわ たけお)氏が鶴岡でハムを作り始め、「成澤商会」として創業したのが始まりなんです」
──創業は90年前!
帯谷社長「今まで魚中心の食文化だったものが、これからは肉に変わる。国内の大手食肉加工会社さんが相次いで創業し、国の施策として豚肉を加工することが振興された時代でした。1939(昭和14)年には国営企業も出資し、半官半民企業として「東北畜産工業」になりました。その頃はハム・ソーセージの工場は仙台にもなくて、東北で初めて食肉製造を始めたことから「東北」という名前が付けられたんだと思います」
──東北で初めてハム・ソーセージをつくり始めた場所が鶴岡だったとは。
帯谷社長「戦後まもない1947(昭和22)年に、財閥の解体にともなって、私の祖父である帯谷 幸次郎(おびや こうじろう)が事業を引き継ぎ、1968(昭和43)年に現在の社名『東北ハム』となりました。私で3代目です」
帯谷社長「いま思えば「鶴岡ハム」など名前の付け方はいろいろと考えられたのかもしれませんが、当時の祖父の想いとしては、前身の社名にある「東北」という名前を継承してやっていきたいという気持ちがあったのかもしれません」
──そのような経緯があったのですね。
帯谷社長「そこで、地元の皆さんに『鶴岡の企業ですよ』ということをもっと知ってほしくて2008(平成20)年から、東北ハムの敷地内で「オクトーバーフェスト in 東北ハム」を開催したんです」
オクトーバーフェストとは、ドイツのミュンヘンで毎年秋に開催される食とビールの祭典で、約600万人が訪れます。近年では日本各地でも開催され賑わいを見せています。
明美さん「東北ハムのソーセージは本場ドイツの製法で作られた自慢の品で、みなさん『ビールにピッタリだ』って喜んでいました! ベーコンがたっぷり入った焼きそばも、ワンプレート100円で販売していましたね」
──安い!
帯谷社長「このオクトーバーフェストは話題を集めて、9年目の2017(平成29)年には2,000人もの来場者がありました」
──そんなに!
ところが、2018(平成30)年以降は台風により2年連続で開催が見送られ、その後はコロナ禍になってしまったため、2017(平成29)年の開催が最後になってしまいました。
帯谷社長「でも、おかげさまで東北ハムが地元密着の企業だというのは知ってもらえたのではないかと思います」
──また開催される日があれば、行ってみたいです。
「無添加で美味しい」への挑戦
──帯谷伸一さんは会社を継ぐことを意識したのはいつ頃ですか?
帯谷社長「この仕事を志すことを意識したのは、大学の卒業旅行でのひとり旅でした。ドイツで食べたソーセージが美味しくて、日本でもこんなに美味しいものを作りたいなぁと思ったんです」
国内のスーパーマーケットや食肉加工会社の営業などで7年間、食肉についてのノウハウを学びんだ帯谷社長は、1993(平成5)年に東北ハムに入社しました。
帯谷社長「東北ハムに入社する前に、食肉業界の専門誌が主催するヨーロッパへの視察旅行に参加したんです。ちょうどヨーロッパの生ハムが日本に輸出解禁になる時期で、その時にイタリア・パルマの生ハムの製造工程を見せてもらう機会がありました」
帯谷社長「そこで食べさせてもらった生ハムにもうすごい感動して。この生ハムをなんとかして自分でも作りたいと思いました」
2001(平成13)年に代表取締役社長に就任した帯谷社長は現在、無添加の長期熟成の生ハム「ノービレ」の製造の全工程に携わっています。こだわりの製造方法やイタリア・パルマの職人たちとの交流秘話は後編の記事で。
──齋藤明美さんが東北ハムに入社されたキッカケはありましたか?
明美さん「私は東京の品川生まれで、ビルに囲まれて育ってきたんです。結婚後は神奈川で生活していたんですけど、まだ幼かった子どもたちを連れて、夫の生まれ故郷である鶴岡市の羽黒に帰省しました。そしたら、『こんなところあるんだ!』ってビックリしちゃって」
──ビックリとは?
明美さん「自然が豊かで、とにかく食べ物が美味しい!これから子育てをするなら絶対にここだ、って。今から30年前のことです。帯谷社長とは鶴岡の赤川花火大会の運営を通して知り合いました。娘たちがアトピーで食品の添加物を気にしていた頃に、社長から『無添加の食肉加工をやりたいんだ』ってお話を聞いて。すごく興味があって2004(平成16)年に東北ハムに入社しました」
──勤続20年目ですね。
明美さん「無添加の商品としてブランド展開している『出羽のしんけん工房』が立ち上がった頃ですね。お客さまに無添加の美味しいものを食べていただきたくて、インターネットで直接申し込めるようにホームページの作成に力を入れました。それに、東京の大手百貨店さんに商品を送って取り扱ってもらえたり、顧客をリスト化してアンケートを作ったりしましたね」
──話の中にあった「出羽のしんけん工房」は、発色剤を用いない製法の「無塩(むえん)せき」を売りにしてる商品ですね。
帯谷社長「出羽のしんけん工房は私が社長になって作り上げた無添加のブランドシリーズです。発色剤を含めた食品添加物や乳たんぱくなど、肉以外の材料を加えていません」
──帯谷社長が無添加の食品づくりを始めたキッカケはなんですか?
帯谷社長「私がこの会社に入社したころ、食品コンサルタントである磯部 晶策(いそべ しょうさく)先生から無添加製造について学ぶ機会がありました。そこから、どうやったらこの土地に合った、無添加で美味しいものを作れるか、ということへのチャレンジが始まりました」
磯部晶策氏が提唱した理念に基づいて、東北ハムはもとより様々な食品会社が食品づくりに取り組んでいます。
「良い食品づくりの4条件」
1.安全で安心して食べられる
2.ごまかしのないこと
3.味のよいこと
4.品質に応じた買いやすい価格
帯谷社長「東北ハムはかつて、学校給食に無添加の加工食肉を提供していた時期もあり、無塩せきのノウハウもありました。それで、比較的早い段階で製品を形作ることができたと思います」
──無添加は体に良いことですが、「美味しさ」も重要ですよね。
帯谷社長「大事ですね。私にとって、本当に美味しい素材を、美味しい食品として出すための方法のひとつが『無添加』です。そして、もうひとつが東北ハムの先人たちが築き上げてきた、ドイツ風の伝統的な製法を用いることです。無添加の商品は値段がちょっと高いんですが、一度召し上がっていただくとリピーターになってくださる方が多いですね」
明美さん「みなさんハムっていうと、ピンク色が浮かびますよね?」
──たしかに浮かびます。
明美さん「それは添加物や着色料が入っているからなんです。無添加の食肉製品は、ベージュというかグレーというか、お肉を茹でた色そのままなんです。初めて見る方は驚くのでしょうね。届いた詰め合わせが『なんだか変な色してる』ってお問い合わせをいただくこともあります」
帯谷社長「無添加のよさを知る人が増えるのは嬉しいですが、急激に認知度は広がりませんから、気長に取り組む事業だと思います」
──「無添加で美味しい」のは、消費者にとって嬉しいことですね。
【見学】ハム・ソーセージづくりの現場
帯谷社長への思わぬインタビューを終えた私たちふるさと納税スタッフは、ハム・ソーセージを製造している第一工場を見学させてもらえることになりました。
新品の白衣のつなぎを着用し、帽子で耳まで隠して手を洗ったら中へおじゃまします。案内してくれたのは、勤続15年目になる生産部課長の阿部 徹也(あべ てつや)さんです。
阿部さん「ここでは15名ほどのスタッフが従事しています」
(スタッフ一同)「おお~」
──ソーセージを作る現場を初めて見ました。
阿部さん「大手の食肉加工会社さんはもっと大きい機械があって、腸に中身が一瞬でバスッと入っていくんですよね。自動で竿にかかって、そのまま台車ごとすーっと機械の中に入っていくらしいです。うちはそういうのがないので、腸に手動で肉を詰めて、ぜんぶ手作りしています」
──手作りは大変かと思いますが、美味しそうに見えますね。
阿部さん「ソーセージなどの加熱食肉製品と記載があるのものは、火が通っているのでそのまま食べることができますよ。焼いた方が美味しいかどうかは別ですが(笑)」
──あっ、吊り下げられている金色のパッケージは「レバーペースト」ですね。このまえ食べました。美味しいですよね!
阿部さん「このレバーペーストは出羽のしんけん工房の商品だから、庄内SPF豚を使用していますよ。これはこのまま食べるのが良いですね。次は梱包室へどうぞ」
阿部さんと別れて、次に見せていただのは梱包室です。説明してくださったのは勤続40年の大ベテラン、難波 浩一(なんば こういち)さん(65歳)です。
──失礼します。うわぁ、すごい量ですね。
難波さん「ここでは4人で梱包をしてます」
──丁寧に梱包されていますね。真空パックですか?
難波さん「そうです。それに冷凍保存なので1年間持ちますよ。ちょうど目の前にあるのは「アイスバイン」です」
アイスバインは豚の骨付き肉を香味野菜や香辛料と数時間煮込んだドイツの家庭料理です。
──アイスバイン! 普段あまり馴染みのないお肉だと思うのですが、おすすめの食べ方はありますか?
難波さん「豚の骨付きスネ肉ですから、大きくて食べ応えがありますよね。加熱食品製品ですからこのままでも食べられますが、オススメはポトフです」
──難波さんは東北ハムに長くお勤めだそうですが、時代の変化と共に、変わっていったことはありますか?
難波さん「20代のころから勤めていますが、今は、発色剤を用いない無塩せきの商品が増えてきたと感じます。特に、無添加の「出羽のしんけん工房」の商品は庄内豚を使用しているので、美味しくて人気だと思いますよ」
──食べたくなってきました。従業員の皆さま、お忙しい中ご対応くださりありがとうございました!
今回、東北ハムの工場内で目にしたソーセージやレバーペースト、アイスバインは鶴岡市ふるさと納税の返礼品で取り扱っています。特にレバーペーストはなめらかな口当たりで、あっさりとした味わいながらも肉の旨味を感じることのできる逸品です。くさみが全くなく、お子さまも好きになるほどの食べ易さ。ぜひお試しください。
また、東北ハムでは様々な種類のソーセージを展開しています。少し厚めの腸皮がパリッとはじけて、中からはジューシーな肉汁があふれ、粗めのひき肉がぷりぷりで食べ応えたっぷりです。
東北ハムの返礼品は、以下のリンクからお選びいただけます。ご紹介した商品すべてを堪能できる特別な定期便もぜひご覧ください。
後編の記事では、生ハム「ノービレ」の魅力についてお伝えします。
★鶴岡ならではの驚きの製造方法とは?
★イタリア・パルマでかけられた、ある言葉とは?
★社長の好きな生ハムの食べ方とは?
みなさんのお好きな生ハムやハムの食べ方も、鶴岡市ふるさと納税 公式Instagram のコメント欄で教えて下さいね ♬
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